過去の仕事場(08)




フォークシール取替

車両は、ホンダの「CRF250L」です。

フロントフォークからオイルが漏れていました。

フォークガードを外すと、インナーパイプ全体にサビが発生していました。

このサビが原因で、ストロークした時にシールを攻撃して、オイル漏れを起こしたのでしょう。

そのままフォークシールを取替したのでは、すぐに再発してしまうので、

サビを除去してから取替作業をはじめました。

左側は、一般的な倒立フォークと変わらず分解できるのですが、

右側は、スナップリングを外す必要があり、

二人で協力して作業したり、ベルトを使ったり、方法は色々ありますが、

私はプレスを使いました。

ここまで分解すれば、シールを取替することができます。

インナーパイプからは、黒く汚れたオイルが排出されました。

パーツを取替した後、フォークオイルを入れて、エア抜きしてから車体に戻しました。




ステアリング・ベアリング取替

車両は、「Ninja ZX−10R SE」です。

外装を外し、フレームを吊り上げて、

ホイール、サスペンション、ステアリングホルダを取外ししました。

LWRホルダ(下側のステアリングホルダ)のベアリングも入替しました。

フレーム側です。

このタイプのベアリング固定方法は、初めて作業しました。

今までに作業したものは、フレームに直接、ベアリングを圧入していましたが、

この車両は、ベアリングをカラーに取付してからフレームに固定しています。

「Ninja ZX−10R SE」は、

電子制御サスペンションが搭載されていて、

車体からフロントフォークを取外す際に、配線を外す必要があり、

これも、名前に「SE」が付いていない、「Ninja ZX−10」や、

」が二つ続く、「Ninja ZX−10RR」とは違うところです。




いろいろと不調

大洲市から御来店いただいた「ZEPHYR750」です。


車両は、最近、購入されたそうです。

納車された時には動いていた所が不動になり、初回の御来店。

不動になった所は、不具合を起こしていたパーツを取替して、すぐに動くようになりました。

しかし、松山へ来る間に、新しいトラブルが発生。

途中で、シグナルランプが点滅しなくなったそうです。


確認しようと、工場内でシグナルランプ・スイッチを操作すると、

点滅しなくなったと聞いていたのに、普通に点滅します。

ところが、御客様が帰られる前に、もう一度、操作すると点滅しません。

動作したり、しなかったりするので、どこかで接触不良を起こしていることは予想ができるのですが、

調べていくと、怪しい所だらけです。

シグナルランプ・リレーを見てみると、接続カプラーが無く、違う端子に変わっています。

シグナルランプ・スイッチを調べようと、レフト・スイッチハウジングを分解すると、

ノーマルでは使われていない赤いビニールテープが巻かれていたり、ハンダ付けをした後が見つかりました。


調べたパーツの全てが、ノーマルの状態ではなく、

誰かの手により加工されていて、何をしていたのか怪しい車両です。


シグナルランプに関係しているパーツを調べましたが、そこに原因が見つからず、

これより先を調べるには時間がかかります。

大洲まで、乗って帰られる御客様を、あまり待たせるわけにもいかず、

その日は、そこで終了して、次回、時間をもらって調べることになりました。



そして、2回目の御来店です。今回はオートバイを預かって調べることになりました。

前回、各パーツは調べていますので、

パーツとパーツをつないでいる配線(メインハーネス)を調べてみることにしました。

接続カプラーの近くを触っているときに違和感を感じ、黒いビニールテープを剥がすと、

ギボシ端子で接続されたオレンジとグレーの配線が出てきました。

しかも、電気の流れる方向を考えておらず、「オス」、「メス」、が同じ方を向いています。

また、オス側にはカバーが無く、金属部が出ています。

あのままでは、カプラーに近すぎるので、配線を長めにして作り替えることにしました。

四輪の講習(電気系)を、受講した時にも、

「配線に加工をするときは、カプラーの近くはダメですよ」と言っていました。


電気の流れる方向を考えると、グレーの配線のギボシ端子はメス側が正しいので、

作り替える時に変更しておきました。


オレンジの配線も、同じように長めの配線に作り替えておきました。

(拡大しました)

赤い矢印の下を見てもらうと、オレンジの被覆が切れて、

銅線が見えています。

もしかすると、これが接触不良を起こしていた所かもしれません。

作り替えた配線をメインハーネスに取付して、

ビニールテープを巻きなおしてから、車体にもどしました。

この後からは、シグナルランプ・スイッチを操作すると、

確実に点滅するようになり、一度もミスしていません。


電気系トラブルは他にもありました。

充電電圧が微妙に低いので調べていくと、

違う年式のレギュレーターが取付されていました。

「ZEPHYR」や「BALIUS」には、数種類のレギュレーターが存在します。


上の写真の左側は、車両に取付されていた違う年式の物です。

(四ケ所の角が、大きくナナメにカットされています)

上の写真の右側が、この車両の年式の正しい部品です。

(ナナメのカットが小さいです)

正しい部品に取替すると、充電電圧が上がり、正常値になりました。



フロントフォークからは、オイルが漏れていました。

磨いているので、離れて見ると、キレイに見えますが、

近くで見てみると、メッキが剥がれているし、

磨くときにペーパーを使ったと思われ、その番手が粗かったみたいで、

磨き傷がハッキリ見えます。


フォークシールだけを取替したのでは、すぐに再発することが予想できますので、

インナーパイプを取替していただくことになりました。

分解してみると、灰色になったフォークオイルが排出されました。

メスシリンダーに注がれた新しいオイルの赤色が、元の色です。

組みなおしたフロントフォークを、車体に戻しました。

(オイル漏れが止まっただけでなく、サスペンションの動きが良くなったはずです)




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